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8.理論(推論) 1+2=効果

以上の理論考察(1)〜(4)より、S/電子波水処理装置の防食効果は、以下に示す理論(推論)1・2によって説明できると考えられる。

(1)理論1

鉄は、幅広い範囲の酸化還元電位を得ることができる。S波により鉄が励起されると、鉄はエネルギーが低い状態から高い状態に遷移し、酸素と反応しにくい準位に上がる。S波の供給が止まれば、充電が切れるように徐々にエネルギー準位の低い元の状態に戻る。

すなわち、高い励起状態に保持されている鉄は、S波エネルギーが止まると、鉄が酸化する熱力学的自由エネルギーに引っ張られて腐食が繰り返される。エネルギー準位の高低は、他の元素にもいえることである。同じ大きさの種類の樹でも、老いた樹にはキノコが生えるが、若い樹には実がなる。2価鉄にもエネルギー準位のレベルがあり、低いエネルギーをもつ2価鉄は酸素とすぐに反応するが、高いエネルギーをもつ2価鉄は酸素と反応しにくい。そして、3価鉄は電子をもらって2価鉄にもなれる。

(2)理論2

鋼管内の腐食部分は、鉄を主成分とする金属元素と有機化合物である。金属元素はすべて、プラス電荷である。水分子には、水素の2つのプラス電荷と酸素の2つのマイナス電荷がある。励起されるとエネルギー準位が上がる。管内のプラスの金属元素に水の酸素のマイナス部が吸着する。どちらも励起するのであるから、引き合う力も強くなる。有機化合物のマイナス部に、水の水素のプラス部が吸着する。水1gの中に3×10(22乗)個ある水の分子(直径2.8オングストローム)が管内全面にびっしりと吸着する。溶存酸素分子は水分子より酸素(O)が1個多い分大きく、数も少なく錆になかなか近づけない。氷山のような水分子群がS波によって無数の小さな玉になり、管内面に水分子として塗装される。これにより、溶存酸素と反応しにくくなる。

一見信じられないようであるが、土中の5〜20%の水は、配位水と結晶水といい、植物の根でも利用できない水となっている。配位水は土粒子と電気的に吸着して動けないでいる。結晶水は、コンクリートの砂利のように物質の中で固まっている水をいう。火星に存在する水はこのようなタイプの水であると考えられている。

[参考]
設備と管理2002年12月号「『好気性微生物群』の産業界での活躍事例」(7.現場例の紹介[考察])P59〜60 金属元素とスライム粒子の吸着・活性化された鉄イオンについて
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9.微生物誘起腐食現象

開放式冷却水系のスライムは、増殖した藻類・細菌類、そして土砂・埃などからなり、スケールは循環水の不純物(シリカ・カルシウム・マグネシウム・鉄など)が濃縮・析出した化合物である。熱交換器の銅製チューブなどに付着・堆積するスライムとスケールは、混在一体化した混合物の状態である。

そして、この混合物には、冷却塔周りの空気環境と補給水としての地下水などが高濃度に濃縮しているので、自然とこの場所に適するさまざまな微生物群が存在する。この混合物が銅の表面を覆うと、「腐食の電池作用」と「微生物誘起腐食現象」により徐々に銅の保護被膜を酸化・不安定化させ、銅イオンの溶出が部分的に起こることがある。

当然、これにより熱効率は低下(当社URL http://www.asahi-lining.co.jp/参照)し、かつ悪性菌の温床となり、冷却塔を清掃してもすぐに繁殖してしまうことになる。これに対する対策は、混合物の除去である。省エネと環境の面からも、できれば初めから発生・付着させないことである。

物理的水処理装置は、藻・スライム・レジオネラ菌などの悪玉菌類を分解させることはできない。対象物が生きている強い生物なのだから当然なことである。これら有害物質を無害な方法で分解・除去するには、装置と好気性善玉菌(エムイーバイオ)を併用することをお薦めする。
執筆者 アサヒ株式会社
代表取締役 社長
坂倉 康郎(さかくら やすお)

  

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